受験で受かる子の特徴は?大学生130人アンケートでわかった5つの共通点

「うちの子、勉強時間が足りていないのでは?」
「部活を続けさせて大丈夫でしょうか」
「塾に行かせれば何とかなりますか」

面談でいただくご相談は、ほとんどがこの3つに集約されます。

これに感覚ではなくデータで「受かる子の共通点」をお答えしたい。そう考えて、井ノ塾では実際に大学受験を経験した学生およそ130名にアンケートを行いました。名古屋大学45名を筆頭に、東京大学、京都大学、大阪大学、九州大学、慶應義塾大学、早稲田大学、南山大学など、進学先はさまざまです。出身校も、名古屋で言えば旭丘・明和・菊里・向陽・岡崎といった上位校の生徒が中心でした。大学受験のアンケートですが、高校受験や中学受験にも生かせる形で話をしていきたいと思います。

集計してみると、私たちが日頃から面談でお伝えしていることが、そのまま数字に出ていました。そして一部は、保護者の方の心配をいい意味で裏切るものでした。

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最初に、2つお断りしておきます

これは「受かった子の中の傾向」です

アンケートに答えてくれたのは、全員が「どこかに合格した人」です。つまりこのデータは、落ちた子と受かった子を比べたものではなく、受かった子たちの中にどんな傾向があるかを見たものです。「これをやれば受かる」という法則ではありません。

この記事は「ギリギリの子」に向けて書いています

もうひとつ、こちらのほうが大事です。

受験には、何をどうやっても受かる子がいます。学力が高く、内申点も足りていて、対策らしい対策をしなくても合格していく子です。そういう子は勉強法や戦略にこだわりません。こだわらなくても受かってしまうからです。

この記事は、その子たちの話ではありません。受かるかどうかギリギリのラインにいる子が、どうやって受かるかという話です。

能力だけで受かった子は、入学後に苦労します

対策をしないまま高校に受かってしまった子は、勉強の習慣も方法も持たないまま入学します。数学や化学から順に崩れていくケースを、私たちは毎年見ています。受験の合否だけでなく、その先まで見据えるなら、やり方を身につけておくことに意味があります。

結果1:勉強時間は、差をつける要素ではなかった

まず勉強時間から見ていきます。受験期、つまり部活が終わったあとの数字です。

平日の勉強時間(平均)

4.2時間

最多は「4〜5時間」

休日の勉強時間(平均)

8.2時間

最多は「10〜11時間」

勉強時間と得点率の相関

ほぼゼロ

平日 r=0.11/休日 r=0.01

大学受験と聞くと、もっとやっているイメージをお持ちではないでしょうか。実際は、休日でも8時間程度です。長い子で平日7〜8時間という回答もありましたが、多数派ではありません。

そして集計の結果、勉強時間と得点率にはほとんど相関がありませんでした。相関とは2つの数値の関係の強さを表すもので、1に近いほど関係が強く、0はほぼ無関係を意味します。

なぜ相関が出ないのか

理由は単純です。みんな同じくらい勉強しているからです。

当時のセンター試験は約55万人が受験しています。その全員が同じような時間を勉強しているなかで、自分だけが1時間多い、30分多いと言ったところで、差にはなりません。

逆に、勉強時間が短くて、勉強せずに受かる子ももちろんいます。しかし平均から大きく外れる以上、それは例外です。平均くらいの勉強時間をこなしているのが「当たり前」であって、勉強していないほうがおかしい。それがこのデータの読み方です。

高校受験なら、どのくらいが「当たり前」か

高校受験生・平日

3時間

全国平均のめやす

高校受験生・休日

5〜6時間

全国平均のめやす

高校1・2年生

1〜1.5時間

毎日続けたい量

つまり、平日に3時間も勉強していない高校受験生は、単純に勉強不足です。内申点が足りないのに逆転を狙う、というのは、この状態では成立しません。まずここを埋める。ここは議論の余地がありません。

しかし、井ノ塾では平日は4~5時間を基本勉強時間としています。また、勉強時間とは先生に教えてもらっているインプット時間ではなく、演習をして定着をさせるアウトプット時間のことだと考えています。アウトプット時間の毎日4~5時間継続していくことが大事です。

そのうえで、時間を増やす方向には行かない

私は塾講師ですから、生徒には「他の子が30分多く勉強していたら、1週間でどれだけ差がつくと思う」という言い方は当然します。

しかし保護者の方に申し上げたいのは、逆のことです。時間はスタートラインであって、差がつくのはその先です。

中学受験で、学校を休ませて勉強時間を増やすご家庭があります。これはあまりおすすめしません。ストレスの問題もありますし、午前中に本当に勉強しているかも怪しい。何より、質が伴っていない時間を増やしても差は埋まらず、「勉強している」という満足感だけが残ります。

この章のポイント

勉強時間は、差をつける要素ではなく前提です。足りていないなら、まずそこを埋める。足りているなら、次に見るべきは「その時間で何をやっているか」です。

結果2:部活を続けた子が、いちばん多かった

部活割合平均得点率
運動部65%74.9%
文化部19%76.8%
帰宅部12%78.5%

帰宅部がわずかに高い数字ですが、差は3ポイント程度です。そして合格者の3人に2人は運動部でした。

現場の実感として、運動部は最後に伸びます

ここからは数字ではなく、毎年感じていることです。

運動部の子は、最初のうちは伸び悩みます。時間が取れないので当然です。しかし引退後、最後に伸びてくるのは大体運動部です。体力があり、諦めない。この2つは受験の終盤で効きます。

逆に文化部・帰宅部の子は、時間がある分だけ最初に伸びますが、後半で伸び悩むことが多い。これも傾向としてあります。

「部活で勉強時間が取れない」は、部活のせいではありません

部活をやめれば勉強時間が増えるかというと、増えません。遊ぶ時間が増えるだけです。

テレビを禁止しても、ゲームを取り上げても同じです。勉強時間は増えません。むしろリラックスできる時間がなくなる分、マイナスになることもあります。

勉強時間が取れていないなら、それは部活のせいではなく、本人がやっていないか、やる環境がないかのどちらかです。部活を言い訳にしないでください。

結果3:恋人がいた子も、しっかり受かっていた

受験期に交際相手がいた

28%

回答者のおよそ4人に1人

いた層の平均得点率

77.6%

いなかった層より高い

いなかった層の平均得点率

74.9%

差はわずか

いた側のほうが、むしろわずかに高いという結果でした。

「恋人がいると成績が上がる」わけではもちろんありません。読み取るべきは、受験生活を極端に切り詰めた子だけが受かるわけではない、ということです。

塾を選ぶときに「友達がいる塾は避けたい」とおっしゃる保護者の方がいます。集団塾で遊んでしまう、帰りが遅くなる、という心配は分かります。ただ、そこに目くじらを立てている場合ではありません。もっと結果を左右する要素が、他にあります。

結果4:塾に通っていたかどうかは、決め手ではなかった

塾を運営する立場として、正直に書きます。

塾に通っていなかった

46%

回答61名中28名

通信教育を受けていなかった

90%

回答59名中53名

合格者の半数近くが、塾に通っていませんでした。通っていたかどうかで、結果は分かれていません。

分かれていたのは、自分で戦略を持っていたかどうかです

自由記述を読むと、通っていなかった子たちは、自分で志望校の傾向を調べ、使う教材を決め、いつ何をやるかを組み立てていました。つまり自分で目標と戦略を立てていた。通っていた合格者も、同じことをしたうえで塾を使っています。

逆に言えば、目標も戦略もないまま塾に通っても、意味がありません。塾に来ても、寝ている子もいれば、だらだら過ごす子もいます。授業を受けた時間だけが積み上がり、何ができるようになったかは誰も答えられない。

「塾に行っているから大丈夫」がいちばん危険です

塾に来れば受かるわけではありません。使い方の問題です。これは10年以上前も今も変わりません。逆に、自分で戦略を立てて実行できる子なら、塾に通わなくても受かります。

ただし、今は独学のハードルが上がっています

念のため補足すると、当時と今では事情が違います。昔は「共通テスト対策と二次対策をやればいける」で通用しましたが、今は独学だけで押し切るのはかなり厳しくなっています。大学受験を見据えるなら、高校2年生からは何らかの形で外部の力を使ったほうがいい、というのが私の考えです。

通信教育についても正直に言えば、かなり難しいと思っています。人が教えるわけではないので、自分で処理する力が要りますし、教材のレベルが自分に合っているか、志望校の傾向に合っているかを、自分で判断しなければなりません。それができる子なら、そもそも独学でいけます。

結果5:過去問の開始時期は、早ければいいわけではない

ここが、私がいちばん声を大にして言いたいところです。

過去問を始めた時期人数平均得点率
1・2年時14名76.4%
3年 夏休み以前22名70.7%
3年 夏休み26名78.8%
夏休み〜共通テストの間33名74.8%
共通テスト以降22名77.5%

最も高いのは「3年の夏休みに開始した層」で78.8%。一方、それより早い「夏休み以前」に始めた層は70.7%と、むしろ低くなっています。早ければいいわけではありません。

過去問は、学力を上げるための問題集ではありません

過去問には問題と解答は載っていますが、丁寧な解説は基本的にありません。過去問は、志望校の傾向を知るためのハンドブックです。学力を上げる作業は、解説の詳しい参考書や問題集が担当します。インプットが終わっていない段階で解いても、歯が立たず、自信を失うだけで終わります。

過去問で知るべきは、次の3つです。

  • 出題傾向

    どの分野が、どんな形式で問われるのか

  • レベルと時間配分

    どこまで手を出し、どこは捨てるのか

  • 自分の弱点

    何が解けなかったのか

3つとも「解けるようになるため」ではなく、次に何をやるかを決めるための情報です。

だから夏なのです。そして夏に全部解くのではありません

夏に着手すべき理由は、そこで方針が立てられるからです。どういう方向でその学校に間に合わせるのか。どの教材を、どのペースで使うのか。それを夏に決められる。

先生に言われてから過去問を始める子は、大体12月です。それでは間に合いません。

ただし、ここを誤解しないでください。夏から過去問をずっと解き続ける、という意味ではありません。正しい順序はこうです。

  1. 夏に解く

    時間を測り、テスト形式で。まず傾向・レベル・時間配分を知ります。解けなくて構いません。

  2. 別の教材で演習する

    見つかった弱点を、解説のある参考書や問題集で埋めます。ここが学力を上げる作業です。

  3. また過去問に戻る

    埋まったかを確認し、次にどこを埋めるかを決めます。

  4. 2と3を繰り返す

    過去問は「測る道具」、参考書は「伸ばす道具」。役割を分けて往復します。

そして解いたあとは必ず復習します。ただし、解けなかった問題の解法を丸暗記するのではなく、同じ分野を参考書に戻って理解し直します。狙うのは満点ではなく合格点です。

過去問を使い切ってしまった子は、本当に大変です

これは高校受験の保護者の方に、特に伝えたいことです。

過去問を解いては教えてもらい、また解いては教えてもらう。この使い方では伸びません。時間も測らない、テスト形式でもやらない、マークシートにも書かない。それでは、傾向を知るという本来の目的が果たせないからです。

そして最悪なのは、過去問を全部やり切ってしまうことです。

12月に、現在地が測れなくなります

過去問を使い切ると、自分の学力が今どこにあり、あと何点伸ばせばいいのかが分からなくなります。ここで言う学力とは、模試の偏差値でも学校の定期テストでもありません。受験本番で点を取る力のことです。それを測る手段が、手元からなくなってしまいます。

短期入塾で来られた生徒で、過去問を使い切ってしまっていたケースが何度もありました。正直なところ、その状態からお預かりするのは非常に難しいです。

お子さんから「過去問を買って」と言われて、何も考えずに渡すのはやめてください。過去問は、やる時期・タイミング・方法を決めてから使う道具です。

結果6:合格者が語った勉強法の共通点

自由記述で寄せられた95件を読み込むと、はっきりした共通項がありました。多かった順に挙げます。

1位:復習・繰り返し(21件)

  • 勉強の9割は復習
  • 参考書はあれこれ手を出さない。良書一冊をしっかり繰り返すだけだった
  • 間違えた問題は何度も復習

新しい問題集を買うことより、一度間違えた問題に戻ることを重視した人が圧倒的でした。

私たちの塾でも、伸びない子の特徴は「いろいろな問題集に手を出すこと」です。これは大学受験でも中学受験でも共通しています。定着を確認するためにテスト形式で別教材を使う、という目的があるなら別ですが、基本は同じ問題集を回したほうがいい。塾の教材にあれこれ足していくのは、おすすめしません。

2位:睡眠と休息(15件)

  • 眠いときは寝る
  • 1週間のうち1日は勉強しない日を作る
  • 早寝早起きを心がけた

面白いのは、「眠いときは寝る」という言葉が、まったく別々の複数の回答者から独立して出てきたことです。「寝る間も惜しんでやれ」と言われていた時代の子たちが、それでも無理はしないほうがいいと書いている。削るべきは睡眠ではありません。

3位:過去問と傾向分析(10件)

  • 過去問を解いて傾向を知り尽くす
  • 過去問を10年分、何度も解いた
  • 試験当日と同じ時間帯に同じ教科を解く

同じ問題を何度も解いて、時間配分、出題のされ方、レベルを徹底的に把握する。前章で書いたとおりの使い方です。

問題集代わりに過去問を消費している受験生は、この使い方をしている子には勝てません。それで受かる子がいるとすれば、学力に余裕があっただけです。ギリギリのラインにいる子が同じことをしても、届きません。

4位:計画と記録(10件)

  • 1日何時間やるではなく、各科目これだけやろうと決めてやっていた
  • 毎日、その日にどの教科の何をどれくらい勉強したか記録をつけていた
  • 次の日に何をやるか、何から始めるかを決めてからその日を終えるようにした

時間ではなく量で区切る。やったことを記録する。いつ復習するかを決めておく。これは「勉強時間と点数が相関しない」という結果と、きれいに符合します。そして、高校受験生でこれをやっている子は、ほとんどいません。

これは高校受験でも、まったく同じです

ここまで大学受験のデータをご紹介してきましたが、私たちが日々見ている高校受験でも、起きていることは同じです。

勉強時間は、当たり前の前提です。中学生も、学校の授業があり、宿題があり、部活があります。与えられた時間の中で、みんな同じように勉強している。ここが極端に少ないなら、それは戦略以前の問題です。

しかし逆に言えば、同じ学校で、同じ授業を受け、同じくらいの時間勉強している子同士で、なぜ結果が分かれるのか。そこに時間以外の理由があるということです。差になるのは、次の5つだと考えています。

  • 戦略

    志望校と現在地の距離を知り、どの教科のどこを埋めれば届くかを決めているか

  • 効率性

    同じ1時間で、すでに解ける問題を解き直していないか

  • 勉強法

    間違えた問題に戻っているか。書き写して終わりになっていないか

  • 教材

    自分のレベルに合っているか。何冊も手を広げていないか

  • 環境

    集中できる場所と、わからないときにすぐ聞ける相手があるか

アンケートに答えてくれた学生たちが自分の言葉で書いていたのは、結局この5つでした。「一冊を繰り返す」は教材と勉強法の話ですし、「量で区切って記録する」は戦略と効率の話です。

自分が行きたい大学に、全国から何千人が受けに来る。学力も自分と同じくらい。その中で「傾向は知らない、戦略はない、スケジュール管理もしていない、ただ時間だけはやってきた」で勝てるかというと、相当に厳しいと思います。高校受験も、規模が違うだけで構図は同じです。

料理と同じです

最後に、いつも生徒に話していることを書きます。

料理をするとき、味見をしますよね。「しょっぱいな」と思ったら、なぜしょっぱいのかを考える。何を入れすぎたのかを思い出して、次はこうしようと調整する。だから自分好みの味になっていきます。

味見もせず、分析もせず、確認もせずに出した料理が美味しかったら、それは経験か勘です。まずかったら、そうなるだろうという話です。

勉強もまったく同じです。受験は何度もやり直せません。一発勝負です。だからこそ、伸びないときに何がダメなのかを考える。考えない子が伸びるわけがない。

まとめ:合格した子に共通していたこと

大学生130名のアンケートから

  • 勉強時間は前提であって、決め手ではない。少なければ問題だが、増やせば受かるわけでもない
  • 部活も人付き合いも、続けたまま受かっている子が大半。やめても勉強時間は増えない
  • 塾に通っていたかどうかで結果は分かれていない。分かれていたのは、自分の目標と戦略を持っていたかどうか
  • 過去問は解く量ではなく、使い方。夏に方針を決めるために使い、使い切ってはいけない
  • 同じ教材を繰り返し、間違えた問題に戻る子が最も多かった
  • 睡眠を削っていない。「眠いときは寝る」が繰り返し語られた
  • 時間ではなく量で区切り、記録して調整していた

ご家庭でできることがあるとすれば、「今日は何時間やったの」ではなく「今日は何を直したの」と聞いてみることかもしれません。合格していった子たちが大切にしていたのは、まさにそこでした。

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